2017年9月29日金曜日

怒るか笑うか

私は指導する時、基本怒らない。
怒るという波動には相手の気を苛立たせたり、
萎縮させたりする力がある。

では笑うとどうなるか?
笑う門には福来るというが、
笑うという波動には広がる力があり、
相手に悔しい想いをさせることもあるが
さほど気にすることないんだという安心感も与えることができる。

私が指導している時どんなことを考えているかというと、
動きを見ながら「きっとうまくいく」とずっと念じている。

どれだけやってもダメでも、それでも念じ続ける。
正直物凄いパワーを消費する。
それでも私は念じ続ける。
お陰で稽古後はヘトヘトだ。

しかしそれでも私は人の可能性を微塵にも疑いたくない。

ある会員さんが「笑わないでください」と言った。
「厳しくしてください」という人もいた。

それはそれで大したものだと思う。
しかし逆を言えば笑われたくなければ、やればいいだけだ。

因みに叱ってくださいと言った人に共通していたこと。
動きが硬い。
きっと過去に厳しく叱られながら指導を受けてきたのだろう。

先程も言ったが、怒る波動には緊張感を与える力があり、それが力みとなる。
心が委縮し、失敗を恐れ、完璧を目指そうとするが、
どこかびくびくしなければならなくなる。

こんな状態で気がスムーズに流れるだろうか?

私が笑うのにはきちんと意味がある。
馬鹿にして笑ってるのではない。

笑うことには緊張感を解く力がある。
そのことで気血の巡りがよくなり、免疫力を上げる力もある。

緊張を解くことで、筋肉や関節が緩み柔らかい動きが出来るようになる。
そうして太極拳の動きになっていく。

数年前の話だが、家族4人である喫茶店に入った。
そこのウエイトレスさんが新人なのか、トレンチを持つ手がぷるぷる震えていた。
トレンチの上には注文したコーヒーがのっていて、
今にも振動でコーヒーがこぼれそうだった。

私はそれを見て「大丈夫ですか?」と笑いながら言った。
するとウエイトレスさんはニコッと笑い、
その後手の震えが止まり上手にコーヒーをテーブルに置くことができた。

私はその後家族に怒られた。
「ああいう時は笑ったらあかん」と。
しかしあのままこちらも緊張して心配しながらじっと見ていたらどうだっただろう?
きっとウエイトレスさんはもっと緊張し
コーヒーがこぼれソーサーはプールになっていただろうと思う。

笑うといってもバカにして笑うのではなく愛情をもって笑うということ。
同じ笑うでもそこに愛があるかどうかということが言いたい。

話を戻すが、
実際に私は太極拳の指導で怒らずに笑い続けた。
するとどうだろう?
結果どんどん柔らかい動きになり人間性まで変わってきた。
70年以上治らなかった姿勢が良くなってきた人もいる。

これからも、笑わないでくれと言われても私は笑う。
ばかにして笑っているのではない。
微笑んでるんだ。
「あなたは出来る」と念じながら。