2017年7月14日金曜日

動かない套路

これまで約4年半、270人近く指導してきたが、
套路の順番を覚え、細かな動きを覚え、
ようやくそれらしい動きができるようになったかと思えるレベルに来た時に
どうしてもすぐに直すことのできない壁にぶつかる。

それは姿勢とゆるんで柔らかく動くこと。

套路を始めるとまず大まかな動きと順番を覚えようと思うだろう。
無論それで間違いないし、私もそのように指導している。

そして次に細かな動作を覚える。
その動きが正しく太極八法の動きに沿ったものになっているかどうか。
(太極八法とは太極拳の最も基本となる技のこと)

そして最後に残る課題が先程述べた通り。

正しい動きをしていても、姿勢が間違っていれば太極拳でいういわゆる柔よく剛を制すことにはならない。

また、ゆるんで柔らかく動けなければこれもまた同じ。

どうすれば良いか?

結局基本に戻ることになる。

ある程度太極拳の動きを習得すると出来た気分になる。
これは大間違い。
私は始めて15年になるが、まだ10ある内の3にも達していないと自分で感じている。

どうすれば良いか?

それは站椿功を行うこと。

昨日も幾人かに站椿功をすすめた。
動く套路から動かない套路へ。

正しい姿勢をつくり、そのまま木のように立つ。
気を沈め、極限まで脱力する。

私は太極拳を辞めていく人をみていつも思う。
本当に楽しくなるのはこれからなのに・・と。

映画のクライマックスを観ずに席を立つようなもの。
富士山頂に達する直前で下山するようなもの。

太極拳は套路を覚えただけでは習得したことにはならない。

それで何ができるだろう?
生活に役立つだろうか?
健康管理に役立つだろうか?
美容に役立つだろうか?
護身に役立つだろうか?

太極拳は太極拳でしか得られない膨大な利益が得られるのに、
途中で辞めてしまうのはあまりにももったいない。

太極拳を単に套路を覚える習い事だとは思って欲しくない。

太極拳の始まりは套路を覚えてからなんだ。