2017年6月5日月曜日

なぜ表演?

ある会員さんに「表演は興味ない」というようなことを言われた。
当会にはそのように思う人が少なくない。

しかし私は逆に尋ねたい。

「ではどうやって太極拳を伝えるのですか?」と。

太極拳を始める方の中では、
テレビで見たり、本場中国でその光景を見てきたり、
なにかしらの場面で太極拳を目にしている。

いわゆる見た目から入っていることは事実。

実は私は太極拳に対してのイメージがほとんどなかった。
しかし何か不思議な技を使って相手を倒すというような
ぼんやりとしたイメージはあった。
何故そういうイメージを持っていたのかまでは覚えていないが。

いずれも表演というものは、太極拳に興味を持ってもらうための一つの手段。

その時にどういう姿勢で太極拳を行っているかだ。

見せよう思って演武しているのか、
それともたまたま練習風景を見られたのか。

表演は確かに美しい。
しかし太極拳のすべてではない。

ここで考えてみて欲しい。
何故表演なのかと。

それは太極拳を普及させるためだと思う。

だから当会では表演を目的として練習を行っているのではなく、
本格的な武術家に育てるための練習を行っている。
そして表で演武するのは、あくまでも興味を持ってもらうため。
目的ではなく手段である。
(今まで何度も語ってきたが・・)

太極拳の表演も楽しいという方も大勢おられるだろう。
しかし本当の太極拳を学び始めればそれはごくごく一部の楽しみであることがわかると思う。

太極拳の世界はそんなに浅くはない。
とても深くその奥底は暗闇の世界で簡単に見ることができない。

海ひとつとっても海面だけが海ではない。
海の中に更に素晴らしい世界が潜んでいる。

山も同じ。
見た目だけの山だけが山ではない。
登ってみて初めて得られる感動の光景に巡り合える。

いずれも今後当会ではもっともっと自然に近い形を目指そうと思う。

套路は鍛錬のための練習法であるがゆえに人に見せるものではないが、
しかしそれを見ることの癒し効果は絶大。

いわゆる見せようとしなくていいということ。

これならば自分も存分に楽しめ、見ているものも楽しませることができる。
癒しを与えると言う形で。