2017年3月17日金曜日

引力で戦う太極拳

双辺太極拳は引力を最大限に使った武術だと思う。
逆に言えば引力が弱くなる水中や宇宙空間ではどうなのだろう?
恐らく双辺ならではの勁力を使うことはできないだろう。

双辺太極拳ではほとんど力を使わない。
水が上から下へ落ちるように、
滝のように打つ技が多い。
だから私は〝水の太極拳”と呼んでいる。

いずれも力を使わないから全く疲れない。
先日も弟子に稽古台になってもらい、ほぼ2時間ぶっ通しで技をかけまくったが
息一つ切れることなく続けることができた。
無論、技を掛けられるほうはたまったものではなかったと思うが。。

もしこれが剛拳ならどうだろう?
鍛えられた肉体でもって素早い突きや蹴り、側転、宙転、跳躍動作・・
その動きは豪快で見ていて爽快。
正直憧れもした。

しかし40頃から始めた太極拳。
長拳を初めて知ったのは40代後半の時。
剣術と合わせてかなり練習をしたが、どうしてもキレの良い動きが出来ない。
というより、元々私は運動苦手で体力もほとんどなかった。
すぐに息切れし、呼吸困難に陥り、
わずか1~2分の動きでも意識朦朧となり体が動かなくなってしまった。

しかし太極拳なら何時間でも戦っていられる。
しかも相手に大きなダメージを与えることもできる。
これほどエネルギー効率のよい武術もなかなかないと思うし、エコ時代の今にぴったりの武術だとも思う。

ところで地球の力と言えば引力ばかりが取り上げられるが上へ引っ張られる力もある。
地球は自転している。
時速約1700㎞もの猛スピードで回っている。
当然遠心力が働く。
もし地球に引力がなければ、地球上にあるすべてのものは空に舞い宇宙に放り出されてしまうことになる。

いわゆる引力と遠心力のバランスで地球上は成り立っているということになる。
この力を自在に操るのが〝気”であると私は解釈する。

イメージによって気を自在に操り、引力の強さや遠心力の強さをコントロールできるようになる。
これは私が日々の鍛錬の中から自然と感じたこと。

どうしてもっと軽いはずの腕がそれ以上に重く感じるのだろう?
どうしてもっと重いはずの腕がそれ以上に軽く感じるのだろう?

ある時は鋼鉄のようになり、
またある時は煙のように気体になってしまう。

これは地球上に働く力を自在にコントロールしているということになると思う。
自分だけが感じる錯覚ではない。
これはきちんと相手にも伝わる。

やっぱり太極拳は面白い。
これは一生やめられそうにない。