2016年12月14日水曜日

教えたくない軸の話

本当は教えたくないのだが、
姿勢がなかなか良くならない方のためにお話ししようと思う。

姿勢を正す。

かつて姿勢を正すといえば
胸を張り、
腰を反らせ、
尻を突きだすような姿勢を求められた。

とにかく「背中を丸めるな!」と。

しかし、私は気功の時間に、「まるめなさい」と指導する。

正確に言えば、丸めるのではなく、
背中が反っているから、真っ直ぐにしようとしても真っ直ぐにならないからだ。

私は指導の時、こんな風に言葉をいろいろ工夫するようにしている。
何故なら皆に太極拳で健康になって欲しいし、強くなって欲しいからだ。

とにかく仙骨から頸椎にかけて定規で引いたように真っ直ぐにする。

これを立身中正(りっしんちゅうせい)という。

しかし、これの意味を知っている人がどれだけいるだろう?

私からの答えは

背筋をまっすぐにするだけで病気知らずになる。
背筋をまっすぐにするだけで肌がきれいになる。
背筋をまっすぐにするだけで頭が冴え心が強くなる。
背筋をまっすぐにするだけで美しい演武に変わる。
背筋をまっすぐにするだけで強くなれる。

とにかくいいことづくめなのだ。

これらをすべて医学的、物理的、霊的に説明することも出来るが、
ここでひとつ、その証拠となる実験をしてみよう。

牛乳の蓋、又はペットボトルの真ん中に穴をあけ、そして爪楊枝を通しコマをつくる。

回してみよう。
きれいに回っただろうか?

もしうまく回らない場合は中心がずれているからだ。

太極拳も同じ。
中心軸がずれるとうまく動けない。
なぜなら太極拳は円の動きだから。

そして、もうひとつ。

うまく回らない理由がある。
それは爪楊枝が曲がっている場合。
仮に頭の部分を切れてしまわない程度に少し曲げてみよう。

それでうまく回るだろうか?

こんなふうに軸がずれたり軸が歪んでいるとコマはうまく回らない。

当会でスワイショウを行うのは、単に身体をほぐすためだけでない。
中心軸を自分で知るため。

腰を反らせたり、首を傾けたりしてうまく回れるだろうか?

太極拳の戦術として欠かせないのが化勁。
化勁は軸が出来ていないと使えない。
その軸感覚は準備運動で行うスワイショウで養うことができる。
だからスワイショウを適当にはして欲しくない。
手を回せばいいってことではないのだ。

いずれも軸が出来ていなければ化勁は使えない。
化勁が使えなければ太極拳にはならない。
受けて打つなら、それは他の剛拳となんらかわりない。

柔よく剛を制す

それは化勁を使うことで剛を制することができる。

ここで勘違いして欲しくないのだが、柔とは体の柔軟性ではない。
体が柔らかいからといって太極拳が強くなるわけではない。
開脚が出来るからと言って、化勁が上手くなるわけではない。
柔らかいの意味が違うのだ。

話が反れそうなので戻すが、

いずれも、姿勢を正すことは想像以上に重要で、
そして何より多くの利益を生み出す。

当会では、まずこの姿勢を徹底的に指導する。
出来ていなければ何度でも指摘し、正しい姿勢になるまで繰り返し指導する。

何度も言うが、皆に健康になって欲しいからだ。
強さと美しさは健康の上に成り立つものだから。