2016年12月2日金曜日

気・套・推・散

当会では、気功、套路、推手、散手の順で毎回稽古を行っている。
この4つは太極拳を行う上で絶対に欠かせないもの。

気功から入る理由は、体をゆるめる理由もあるが、それだけではない。

単に鬆身効果を狙うだけの簡単なものだと解釈するのは危険でさえあると思う。
その理由は今後ゆっくり書いていきたいと思うが、
気功で得られることを言葉にするのは難しい。

私は長く美容関係の仕事に携わっていたが、
美容液や高級クリームの効果を最大限にしたかったらまず洗顔に力を入れること。
これは鉄則。

顔を洗うということは単に顔をきれいにするだけではなく、
肌に栄養を入れるためには絶対必要なのである。

普段、かんたんな洗顔では落ちない肌表面の垢や毛穴に詰まった汚れ。
これらを取り除かなければ1万円の美容液の効果は2000~3000円になってしまうだろう。
逆に正しい洗顔を行ってやれば2万円の効果、3万円の効果だって得られる。

何が言いたいかと言うと、
まずは浄化することが大事ということ。

私は自主練の時も必ず気功を行ってから始める。
まずは体を清めることから。

このことは気功でしか得ることはできない。
普通に準備運動やストレッチを行っただけでは浄化を行うことはできない。

まずは身も心もフラットな状態にする。
そして太極拳を体にじっくり浸透させていく。

この順番は非常に重要。
逆に気功を行わないで太極拳をしようとすると調子が狂うし、
本当の放鬆(ほうしょう)は得られない。

そして、次に推手(すいしゅ)、散手(さんしゅ)という順に稽古を行う。

推手と散手は太極拳の質を確実に高めてくれる。

因みに推手を行わなくては太極拳が太極拳になることはない。

なぜ太極拳はあのようにゆっくりやわらかく動くのか。
そのことが本当の意味で理解できるようになる。

あの動きは空気を受け入れ、空気を導き、そして空気を動かしている。
推手はそれを相手と手を合わせることによって、その意味を知ることになる。

散手もしかり。
これを単なる技の練習と思うのは危険だと思う。
単なる技の掛け合いだと思うなら、それは太極拳にはならない。

推手で学んだことを散手に生かすことができる。
逆に推手を行わないで散手だけをしてもこれまた太極拳にはならない。

太極拳の達人が技を掛けると、まるで魔法を掛けられたように人が吹っ飛んで行く。
或いは、手を触れただけで相手がその場で崩れ落ちる。
それは単に力学だけではなく禅によって得られる力が加わるからである。

とまあ、こんなことを気付くようになっただけで、
私の修行はまだまだ始まったばかり。

とにかく、太極拳を修行する上で、「気・套・推・散」は必要不可欠であることだけは伝えておきたい。