2016年11月22日火曜日

自由になるため正しく覚える

先日ある会員さんが「太極拳難しいです・・」と。

誰もが最初に思うこと。
動きがゆっくりだからやさしく感じる。
しかし実際にやってみると、なかなか思うようにいかない。

太極拳の型は曲線を描きながら次々と動きが変化する。

曲線の動きは強く美しい。
だからこそ太極拳に憧れる人が後を絶たないのだと思う。

しかしその曲線がネックなのだ。

直線ならA地点からB地点へ真っ直ぐ線を引けばいい。
しかし曲線の場合はそうはいかない。
A地点からB地点までどのような曲線を描くのか
その度合いを測るため更に点を増やさねばならない。
A、B、C、D、E・・
それでもそれらを直線で引いてしまうと多角形になるだけで曲線にはならない。

しかも太極拳ではその曲線の中に螺旋の動きも入る。
その回転の速度やタイミングもその動きによって異なる。

最近、太極拳をCGを使ってアニメ化している映像をよく目にするが、
あのプログラミングは大変だと思う。
なぜならコンピューターは曲線を処理することをもっとも嫌がるからだ。
たくさんのデータを打ちこまねばならない。
いずれも、直線的な動きの空手やボクシング系のものと比較すると、
やはりどこか動きがぎこちない。

何が言いたいのかと言うと、
曲線は直線に比べ圧倒的に情報量が多いということ。
太極拳が不老長寿健康法として知られるのは、
これらを頭と体を使って覚えていくからどちらも衰える暇がないのだ。

そして太極拳が難しいのは覚える方だけではない。
教えるのも大変だ。
太極拳の動きを口で説明しようとすると膨大な量の言葉を発っしなければならない。
非常に体力がいる。

無論学ぶ側はその膨大な量の言葉を覚えきれるわけがない。
しかし手本となる動きと言葉を使うことで少しでも早く覚えてもらおうと私は努力している。
全部覚えてもらおうと思って言葉を使っているのではない。

目から入る情報と耳から入る情報の両方でインプットし、
大方忘れたとしても、どちらかの断片が残っていればそれで良いと思っている。

太極拳を教えることはマッチで炭に火をつけようとするようなもの。
非常に忍耐が必要で、私もまた衰える暇がない。

いずれも太極拳を正しく覚えてしまえば、
その先には素晴らしい世界が待っている。
それは山頂に登りつめおいしい空気を吸いながら絶景を眺めるような気分。
解放されたような自由な世界。

だからこそ、休まず弛まず続けて欲しいと思う。
9合目や8合目で下山しないで欲しいと思う。

私も頑張るから皆も是非付いて来て欲しい。