2014年7月15日火曜日

太極拳に終わりはない?

私は11年前に初めて太極拳を教わった。
今までに見たこともない先生の神秘的な動きに一発で魅了され、その後すっかり太極拳のとりこに。

私が最初に思ったこと。
「早く先生と同じように演武できるようになりたい」

だから、家に帰ったらすぐに習ったことを復習した。
いや、正確に言えば復習したというより体が勝手に動いていたという感じだろうか。

私の仕事はデスクワークだが、パソコンを操作しながらも気が付けば手が動いていたり、リビングでも廊下でもトイレの中でも太極拳をやっていた。
便座に座りながら雲手(うんしゅ)を行うとお通じがスムーズになることもその時発見。(笑)

部屋の中だけではない。
習い始めて半月ぐらいで公園でも練習した。
しかし、まだ型を覚えて間もないので単鞭(たんべん)までとか、十字手(じゅうじて)までとか。

私の場合、少々目立ちたがり屋なところがあるので、覚えたことをすぐにでも人に見てもらいたかったというのもあった。
無論、その頃の演武なんて無様で見れたもんじゃない。(汗)

ところで、私の上達は早かっただろうか?
自分ではわからないが、先輩方からも先生からもその上達の早さに驚かれ、気が付けば先輩方を追い越し、そして周りからも認められるようになっていた。

でも、それは何故だろう?
一言で言えば夢中になっていたということだろうか?
「好きこそ物の上手なれ」ということわざがあるが、まさにそんな感じだったように思う。

とにかく先生にくっついてまわった。
全員で演武する時はいつも先生の一番近くに行ってそのパワーをもらおうと思ったし、演武しながらも盗めるところは盗みたいと思った。
 個別練習の時も、「先生早く来てくれないかなぁ~」と待ち遠しく、耐え切れず先生を呼んでしまうことも。(笑)

先輩方もそんな私のことを気遣ってか、食事会の時も常に先生のすぐ隣の席を譲ってくださった。
今思えば私は先輩方に恵まれていたと思う。

その後、引っ越しのために教室を移らざるを得なくなったが、その教室でも同じだった。
練習開始時間より30分早く練習場に行き、部屋の照明を入れ、夏は冷房、冬は暖房と、先生が来られる前に部屋の準備を済ませ、そして先生が来られる前に自主練しまくった。

稽古中も先生にくっついてまわり、2年目には先生と二人きりで共演もさせて頂いた。
先輩方からも将来有望と褒めて頂き、そこでも食事会の時は先生の隣の席を譲って頂いた。
本当のことを言えば食事会の時まで先生のそばにいるというのは恥ずかしかったのだが、今思えば先輩方も私のやる気を買ってくださっていたのだと思う。

隣県の道場に通っていた時も同じ。
常に先生に密着しまくった。
お茶会でも先生を質問攻めにし、帰りの電車ではその日覚えたことを思い出す限りノートに書き出した。
無論先生に対しての礼儀も忘れなかったし、お礼のメールも欠かさなかった。

そして今の私は?
一応、去年からサークルで教える立場にもなったが、まだまだ修行中の身。
11年やってきて、本当に気持ちのいい演武ができたのは自分の記憶の中では2~3回程度。
常に自問自答しながら日々練習している。

恐らく太極拳に終わりはないんだろうなと感じた。
逆に、これこそが太極拳の醍醐味といおうか。

2004年8月