2014年4月3日木曜日

架式を落とさないと見えてこないもの

当会では、個々の体力に応じ自由な架式で練習するよう推奨している。
因みに架式とは腰の位置であり、低い架式では高い架式より脚力と軸感覚が要求される。

現在、この武術界では怪我防止のために架式を高くする傾向にあるが、あえて私はそれにはあまり賛成できない。
なぜなら、高い架式ばかりで練習していては脚力を養うことができないばかりか太極拳で最も重要な“気づき”を得られるチャンスを逃すことになるからだ。

老化は足からくる。
だからこそ、最近ウォーキングやジョギング、ノルディックウォーキングなどがもてはやされている。
人間は歩くことによって進化してきたわけだし、赤ちゃんも二本足で歩き出すことによって知能が発達する。

太極拳は脚力や軸感覚を養うのに大変優れた武術だ。
しかし、足や膝を労わってばかりいたら老化防止の役に立たないものになってしまうだろう。

「使わないものは退化する」
これは私が長年健康医学を勉強してきて到達した答えだが、もはやそれも最近ではこの考えが徐々に広まりつつあるようだ。

だから、あえて、架式を徐々に落として練習することをすすめる。
落とさなければわからないことがたくさんある。
低くするとまず最初に感じることが脚力のなさだ。
そして次に軸感覚。
低い架式で歩行するにはバランス感覚が要求される。
逆に言えば、この練習を積んでいけばバランス感覚が養われていくということになる。

そして、私がもっとも重要だと思うことは、脚力を養うことで初めて無駄な力を省くことができるということ。
最初はどうしても手で動こうとしてしまう。
しかし手で動こうとするとどうしても体の各所に無駄な力が入ってしまう。
余分な力を排することが出来なければ気の通り道である経絡を開くことができないし、健康的にもあまり効果を望めなくなる。

いずれも余分な力を抜くことで初めて太極拳の本当の素晴らし世界に入ることができる。

自分をとりまく気の存在、そして粘り、そしてその心地よさ。
空間との一体感。
地球との一体感。
宇宙との一体感。

一体感は不安や恐怖心と取り除き、癒しと勇気を与えてくれる。
そして何よりとても気持ちいい。

この世界への入り口として、足を労わってばかりいるのはやめて、積極的に体を動かしていこうと呼びかけて行きたい。