2024年1月26日金曜日

集中する

会員さんの練習を見ていると、今自分がすべきところを放ったらかしにして他人がやっているところをしようとしたり、まだ進んでないところを「見て欲しい」と言ってくる会員さんもいます。
おそらくYouTube等で似たような型を見つけて覚えてくるのでしょう。

指導者の立場からすれば、一番やって欲しくないことです。
(気持ちは解りますが)

私が高校受験の時、音大付属高校に進みたかったのでピアノの先生について習っていたことがあります。
先生は受験のため私のレベルに合った曲(ソナチネ7番)を選んでくれ練習するようにと言われました。

当時ピアノを弾くことが楽しくてならなかった私は懸命に練習し、どんどん指が動くようになりました。
そうこうしている内に自選曲では物足らなくなり、もっとレベルの高い曲をやりたくなりました。
そこでなんとなくソナチネ1番を引いてみたら初見で割と弾けたので、「これにしたい」と思ってそれから猛練習を始めました。
この曲を弾いて先生を驚かせてやろうという気持ちもありました。

そして先生の前で「1番を練習したので聞いて欲しい」と伝え弾き始めました。
その時の先生の反応は決して良くなく、その表情はどんどん険しくなり、引き終わった後、一度も怒ったことがない先生が怒りだしました。

「まだ7番もちゃんと弾けないのになにをやってたの?!」と。

その後、先生は1番を引き出したのですが、そのピアノはまさに怒りのピアノでした。
私はやさしい先生を怒らせてしまったとをとても後悔しました。

そして私は高校受験に失敗しました。
3校全てです。
「桜散る」の通知を見て涙がボロボロ溢れ出てきました。

受験に失敗したのはピアノだけではなく
本番でトランペットがうまく吹けなかったからです。

トランペットの先生も普段はとてもやさしい先生でしたが、
受験のためにマンツーマンレッスンを申し込んでからは人が変わったように厳しくなりました。
私が受験に合格出来るよう懸命に教えようとしてくださったのでしょう。

まあとにかくクラシック音楽への道は敗退に終わりました。

ところでピアノの先生は何故あれほど怒ったのでしょう?
それは私のために選んでくれた曲の練習を放ったらかして別の曲を練習してしまったからです。
ピアノの先生も私のレベルを見て、合格出来るよう最も適した曲を選んでくれたはずです。

まあ多感な時期でしたから、自分の才能に溺れてしまったり、美人の先生の前でいい恰好したいという気持ちもありました。
まさに雑念だらけです…

とにかく今すべきことに集中する。
それが出来るようになったら、次に進む。
その繰り返しです。

与えられたことをきちんとやれば先生も認めてくれるでしょうし、
私もそうしてもらうのが一番嬉しいです。



2023年12月22日金曜日

相手は相手ではない

当会では開祖より代々伝わる伝統形式で稽古を行っています。
代表が考えたプログラムではありません。
内乱が多かった中国で生まれ徹底的に磨き抜かれた本格的な太極拳です。

太極拳が健康にいいのは「生きる」ことを意識するからです。

平和な時代ではピンと来ないかもしれませんが、
今もこうしているうちに戦争やクーデターによって亡くなる人が絶えないのです。
病気や事故によって亡くなる人も数多くいます。
だから生きようとする気持ちが心を強くし体を強くします。

当会では何故気功から始まり套路を練り、推手、散手を行うのか?

それは美ではなく技を意識した動きを習得して頂きたいからです。
動作による美を追求し過ぎると怪我をしたり体を痛めたりします。
このことは過去、競技太極拳を行っていた私自身が嫌というほど経験しました。

ところが技を意識して太極拳の稽古をすると、全く違う世界が開けてきます。
今まで見えなかった目に見えない内面の世界と空間の力です。
目に見える人間は肉体の個体に過ぎず、弱弱しくさえ見えます。
しかし空間と融合することにより自分が一つの個体ではないことに気づき始めます。

それを感じとることが出来るのは目に見えない敵と戦う意識を持つことです。

ウイルスとどう戦いますか?
気によってウイルスを跳ね返し、
入ってきてしまったウイルスは内気のパワーを上げることで撃退させることができます。

これらの力は決して美を追求して得られるものではありません。

美を追求することを否定しているのではありません。
しかし年齢や体力に見合わない動作を目指したり、
間違ったトレーニングをしてしまうと確実に体を痛めつけてしまいます。

推手や散手が苦手だという人もいます。

苦手意識を持つのは仕方ありません。
しかし私が考えたプログラムではないということを知って欲しいです。
今まで何度も戦い抜いた数多くの先生方が継いで来られた貴重な伝統稽古なのです。

心を強くし、
体を強くし、
強く生き抜くための体に磨き上げるための鍛錬法です。

もしかしたらその苦手意識は相手を意識し過ぎているからではないでしょうか?
それは大きな間違いです。

本当の強さは相手を突っぱねることではなく、相手を受け入れることです。

先ほどと逆のことを言っているようですが、
いわゆる、相手がいない時は相手を意識し、
相手がいる時は相手ではないと意識することです。

相手を相手だと意識し過ぎると推手や散手の意味がいつまでもわからないでしょう。

肉体レベルで考えるのではなく、
人は見たもの触れたものと瞬時に繋がることができます。
繋がったエネルギーは空間を経てまた自分に戻ってきます。

怖がることはないのです。

相手とは自分が送ったエネルギーなのですから。

情報過多の今、情報に流されたり、人間関係を恐れたりしやすくなりますが、
だからこそ、目にみえない力を見たり、
身に付けたりすることが必要なのではないでしょうか?

太極拳で得られる力はおそらく皆さんの想像の外にあるでしょう。
そのためにはまずやってみることをおすすめします。



2023年12月3日日曜日

答えは自分の中に

今日ある生徒さんから「独身男性は早死にする」と言われ、
ちょっとグサリときたが、
そんな私は今までありとあらゆる病気を克服してきた。

特に物心ついたころから長年患った持病の喘息とアトピーは完全に克服し、
それから症状が出たことは一度もなし。
31歳から栄養学を学んでから。

人間の体は中医学では気血水から成ると言われるが、
医学的にみれば人間は水とタンパク質から出来ている。
その水とタンパク質を良質なものに変えれば人はいくらでも生まれ変わることが出来る。
それで数えきれないほどの病気を克服してきた。

その上、太極拳をはじめてからは驚異的な治癒力を身に付けた。
出血はすぐに止まり、
傷はすぐに治り、
内出血は2時間で治り、
脱臼や打撲は数十分で。
とにかく止血が早い。

交通事故で折れた肋骨は5日で元通りに、
穴の開いた肺は3日で塞がり、
捻挫は30分で治る。

確かに一人だと食生活が質素になる。
しかし毎日贅沢すれば長生き出来るだろうか?

確かに私の食生活はご飯に豆腐に味噌汁といった感じで質素だが、
それで体調を崩したことはない。
食べるものも大事かもしれないが、もっと大事なのは食べ方。
ゆっくり味わい感謝しながら食べる。
そうすれば質素なものでも栄養になる。

ある占い師の生徒は、「先生は霞みだけでも生きていけそうですね」と冗談で言ってたが、私もそんな気がする。

ご馳走はたまに食べるからご馳走なのであって、毎日贅沢三昧したいと思わない。
それが人生の楽しみだとも思わない。
もっと楽しめる人生はたくさんあるし、今ですら最高に充実している。

独身男性が早死にするのは単なる平均的なデータであって、
誰もが早死にするわけでなない。

大事なのは「人生をどう生きるか」ではないだろうか?

人生がつまらないと思えば、太極拳修行などしないだろうし、
生活も乱れ早死にするかもしれないだろうが、まだまだやりたいことは山ほどある。

人は生きるために生まれたのではない。
単なる消化ゲームではない。

人は進化するために生まれたのであり、だからこそ生涯修行を続けようと思った。

答えは情報の中にあるのではない。
自分の中にある。

それを見つけ出すことが大事だと思う。



2023年11月29日水曜日

人生60から

昨日の自立支援講座の時、冒頭でお話したことですが、
20年前、心も体力も衰え燃え尽きを感じていたあの頃からは
想像出来ないほどになりました。

39歳の若さで燃え尽きる?

30代はそれほど頑張りました。

24時間働くつもりでベッドを捨て、
24時間電話対応し、
必要とあらば夜中でも車を走らせるという感じで
毎日突っ走っていました。

あっという間に650人のリーダーになり、皆が私に付いてきてくれました。
YouTubeもSNSも何もなかった時代に年商5000万円に。

その後日本と海外の二重生活をすることが出来たし、
貧乏時代にはとても手の届かなかった外車も手に入れました。
そのお陰でしばらくの間は優雅な時を過ごすことが出来ましたが・・

その後一気に転落。

鋼のようなメンタルもガラスのようなメンタルになり、
人と会うのも怖いと感じるほど堕ちました。

原因は燃え尽きだけではなく、体を動かさなくなったことです。
当然収入も急落し、借金生活に。

その頃は階段どころか歩くことすら出来なくなり、
頭ばかり使っていても体を使わないとこうまで体力が落ちるんだと思い知らされました。
当時は階段を3段程登るともう息切れしてましたから。

もう、本当にヤバイと思いましたね。

しかし今はどうでしょう?

階段を見るとげんなりしていた私が階段を見ると気分が上昇してくる。
血が騒いでくる。
そして、ガンガン駆け上がります。
1段飛びで駆け上がっても息切れもしません。

太極拳本当にヤバイです。

歳を取ればとるほど、体力が落ちるのに、太極拳を始めると確実に時間が逆行します。

それにどうでしょう?
燃え尽きていた心に火が付き、
還暦になろうとする今、何か「大きなことをやりたい」という気持ちにすらなっています。

私が太極拳の効果を証明するのは今までだけでも語りつくせないほどありますが、
これからもっともっと実証していきます。

口先だけで「太極拳は健康にいい」などと言いたくありません。

身をもって示すのが私のやり方です。

10代20代の頃、横断歩道では常に先頭に立ち、一番前を歩く。
人ごみをかき分け颯爽と歩く。
そんな感じでしたが、40年経った今同じような感じになっています。

「人生60から」

歳を理由に泣き言は言いたくありませんし、
そう自信をもって言えるようこれからも実証していきます。

太極拳は心と体と脳を鍛えます。

いつまでも若々しさを保ちたい方は
ご一緒にやってみませんか?



2023年11月19日日曜日

転身は遊びながら身に付ける

転身方向は様々です。

欄雀尾左掤(らんじゃくびさほう) 90度
単鞭(たんべん) 180度
進歩搬欄捶(しんぽばんらんすい) 45度
抱虎帰山(ほうこきざん) 135度
双風貫耳(そうふうかんじ) 22.5度
転身右踵脚(てんしんみぎとうきゃく) 225度
玉女穿梭(ぎょくじょせんさ) 270度
轉身擺蓮(てんしんはいれん) 360度

この転身方向で苦労する人は多いようです。

ただ、この角度、
実戦では必ずしもこうなるとは限りません。

それもそのはず、
敵はどこから攻めてくるかわからないし、
敵がその場でじっとしているとも限らない。

だからこの角度はあくまでも套路上での角度であり、
実際は自由に転身出来なくてはならないのです。

因みに私は玉女穿梭で540度転身することが出来ます。
いわゆる1回転半です。
足で回ろうとするのではなく、
軸と丹田だけ意識していればどの方向にも自由自在です。

こんなふうに遊び心をもって練習すると上達が早くなります。

***

暗い顔したり、しかめっ面したり、眉間にしわ寄せて練習している人もいますが、
上達が遅れるだけです。

表情は心の状態をそのまま表しています。
顔の表面に力みが生じると
上丹田も中丹田も塞がってしまい、うまくいくこともいかなくなるのです。

私は稽古中にあからさまに叱り飛ばしたりすることはありません。
場の雰囲気を壊して空気を硬くしたくないし、本人の立場もあるからです。
しかし伝えるべきことはしっかりその場で伝えます。
冗談で言っているようで実は本気なのです。

暗い表情に好機は訪れません。
鏡を見てまず笑顔をつくることから始めてみるのがいいでしょう。

冗談のようですが間違いなく太極拳も人生そのものも激変します。



2023年11月5日日曜日

自分を知る

本日、新スタジオはフル稼働でした。

オンラインレッスン3つ
プライベートレッスン1つ

今日のオンラインレッスンでは・・

「人目を意識しないことの重要性」
「上達したければ大きな鏡を買うこと」
などを伝えました。

まず人目を気にしないというのは当たり前の話であって、
太極拳は本来武術であって人様に見せるものではなかったわけです。
人目を意識すると虚栄心やら恐怖心やら、
もうホント雑念だらけになり、それが良くも悪くも全て動作となって表れてしまいます。

伝統拳では人目を一切気にしません。
自分が気持ち良いように練ればいいのです。

あと、上達したいなら絶対に大きな鏡を買うべきです。

「鏡を見るな」という先生もおられるようですが、
私は鏡を見ることを強く薦めています。

なぜなら鏡は嘘をつかないからです。

今、目の前に映っているのはありのままの自分。
変わりたかったら鏡から目を背けず、よくない部分を直していけばいいのです。

或いは、折角誰もがスマホを持つ時代。
先生の動きを撮るのもいいけど、それより自分の動きを撮りましょう。

少なくとも私は毎回練習時に自撮りして自分の弱点を研究しました。
無様な動きだとしても落ち込んだりしません。
ただひたすら出来ていない部分を直しただけです。

「人目を意識しない」
「鏡を見る」

一件関連性のないことのように感じるかもしれませんが、
人目よりもまず「自分を知る」ことが大事ということです。

#全国 #気功 #太極拳 #オンラインレッスン #リモートレッスン



2023年10月8日日曜日

慌てない

何度やってもうまくいかない…

だからその部分を何度も何度もやり直します。
果たしてこの練習法は合っているのでしょうか?

太極拳の最も効率のよい練習方法は?

それは…
なるべくやり直しを減らすことです。

やり直すことは大事ですが、
何度も何度もやり直ししているとやり直し癖がついてしまい、
やればやるほど正しい動きからかけ離れていきます。

套路を練習している時、
「止まれ!」
と言われて、すぐさま静止することができますか?

いつでも静止出来る状態とは勢いに任せた動きではないということです。

即ち常に虚実がハッキリしており、
軸が安定し、
自由に動ける状態ということになります。

套路は站椿功(立つだけの練習)の連続動作なのです。

もしかして貴方はせっかちですか?

せっかちは太極拳の上達の妨げになるだけです。
「ダメだダメだ」の連続ではなかなか上達しません。

一度深呼吸して、ゆっくり動いてみましょう。

太極拳の最短上達法は徹底的にゆっくり動くことです。

楽器の練習と同じです。
速く演奏出来るようになりたかったら徹底的にゆっくり練習することです。

焦りは禁物。

このような心のゆとりが太極拳らしい心(人間性)を作り上げ、
その心が太極拳をより強く美しくします。

とにかく、ゆっくり動く。

この一言に尽きます。